ロードバイク・コラム『ロードレース観戦の楽しみ方』
ロードレース観戦の楽しみ方
ロードレースはロードバイクにまたがった100人以上の選手が、一斉に走る自転車レースです。
レースは短距離で数10キロ、長距離では300キロ以上のレースもあります。
美しい砂浜をスタートし、海岸の岸壁を走り内陸部の平野を走るとか、平野部から山岳地域へ向かうコースなど、レース開催地の景勝地を巡るコース設定が特徴的です。
ロードレース3大有名レースの紹介
自転車レースで世界的に有名なのは、ブエルタ・ア・エスパーニャ、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランスの3レースで、このレースをグランツール(3大ツール)と呼んでいます。
◇「ブエルタ・ア・エスパーニャ」
ブエルタ・ア・エスパーニャは、毎年8月から9月にかけてスペインで3週間以上にわたり開催されるレースです。
2019年開催は、スペイン南部バレンシア州のサリナス・デ・トレビエハでチームタイムトライアルを競うことから始まり、9月15日に首都マドリードがゴールまでの3272.2キロの21ステージを走ります。
ブエルタ・ア・エスパーニャは、山岳地帯が多いスペインの地のりを生かしたコースとなっていて序盤から急勾配のコースが多く、そのほかにも平坦地のコースや峠コースも設定されています。
平地でタイムを稼ぐチームと峠コースでタイムを稼ぐチームが壮絶なレースを繰り返す点がレースの見どころです。
ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスよりも、コースは短くスピードも速いレースで最後の逆転劇が繰り広げられるレースとして有名です。
◇「ジロ・デ・イタリア」
「ジロ・デ・イタリア」は毎年5月に開催されるレースで、開催期間は約3週間21ステージが用意されます。
コースは総距離が3578.8キロ、ステージ平均の距離は170.4キロとなっていますが、一般的な平坦ステージと山岳ステージ、そして特徴である個人やチーム戦が楽しめるタイムトライアルステージなど、多彩なステージ構成となっています。
2019年5月に開催したコースは、イタリア北部の都市・ボローニャから始まり、イタリア半島中部から南部から北部の山岳地帯へと走ります。
かなり厳しい勾配の山岳地帯を走るステージが多く、登りに強いクライマーが活躍する場面が多く見られるレースです。
開催時期は、アルプス山脈やアペニン山脈にまだ雪が残っているため、勾配の厳しさだけではなく、走りながら寒さにも耐えなければいけないという過酷なレースであることが特徴です。
◇「ツール・ド・フランス」
「ツール・ド・フランス」は、毎年7月にフランスで開催され23日間21ステージの
3300キロのコース設定がされています。
コースは毎年変わりますが、ヨーロッパのどこかの地域をスタートして、ヨーロッパ各国を移動して、最後フランスのパリへ戻ってくると構成となっています。コース設定がされます。
例えば、モン・サン=ミシェル、歴史的城塞都市カルカソンヌ、ポン・デュ・ガール、シャルトルの大聖堂などの観光名所やアルプス山脈、ピレネー山脈、ジュラ山脈など絶景の山岳地帯を走ったりもします。
ヨーロッパの各地では、ツール・ド・フランスの誘致合戦を競い合いが繰り広げられます。
2000メートルクラスの山岳地域を走る山岳ステージは、各チームの熾烈な走行が見られるレース展開が繰り広げられ、このレースシーンがツール・ド・フランスの見どころとなっています。
ロードレースの魅力とは、チームメンバーが担う役割の妙味にある
優勝者は一人のレーサーですが、ロードレースは実はチームワークが必要なスポーツです。
これは、そのチームの「エース」と呼ばれるひとりの選手を勝たせるために、「アシスト」と呼ばれるチームメンバーたちがエースをアシストしながら走ります。
なぜ、チームプレイが必要なのか?それは、ロードレースでは時速40キロ近いスピードで走ることから、かなり体に受ける空気抵抗(風)があります。
これをまともに受けながらスタートからゴールまで、ずっと走り切るのは体力にダメージが出てしまい優勝することは難しいのです。
先頭で風を受けて走るより、風を避けるためにチームの他の選手の後ろを走る方が、一説には空気抵抗が30%ほど軽減すると言われています。
チームとしては、先頭を交代しながら各メンバーの体の負荷を分担しながら、助け合ってレース展開していきます。
レース中、メンバーは集団で先頭交代を行っていきますが、この先頭交代の役目を免除されるのがチームのエースです。
風を受けて走ることをアシストするメンバーに任せて、エースは最後のステージのエース同士の戦いに備えて体力を温存しながら走ります。
一日の長時間レースの間、選手たちは自転車に乗りながらドリンクや補給食を摂取しますが、この時もアシストが後方を走るサポートカーまで下がり、車からドリンクボトルや補給食を受け取りエースに手渡すということも行っています。
まとめ
ロードレースの楽しみは、アシストの役割をレースで観戦しながら、体力的にも険しいコースや走行中の風と戦うレース展開の面白さを満喫することです。
200人近い選手たちのそれぞれの走りには、ゴールを駆け抜けるエースへ献身的な努力に感動があるスポーツと言えるでしょう。