ダイレクトマウントとは?通常マウントとの違いとメリット・デメリット

ロードバイクやMTBの世界では、年々パーツの軽量化や高剛性化が進み、「ダイレクトマウント」という取り付け方式が生まれました。
従来のアダプターやブラケットを介する方式に比べ、よりシンプルでダイレクトな固定方法が特徴です。
ダイレクトマウントとは
「ダイレクトマウント(Direct Mount)」とは、フレームやフォークに直接パーツを固定する方式のことを指します。
主に採用されるのはブレーキやディレイラー(変速機)などの部品で、余計なアダプターを介さずに取り付けるため、取り付け精度や剛性が高くなります。
特にロードバイクでは、ブレーキのダイレクトマウントが多く、シートステーやフロントフォークの両側に取り付ける「ダブルボルト方式」が一般的です。
これにより、ブレーキング時の力が左右均等に分散され、より安定した制動力を発揮します。
通常マウント(キャリパーマウント)との違い
通常のブレーキマウント(キャリパーマウント)は、中央の1本ボルトで固定するタイプです。
この構造は軽量で整備性にも優れますが、固定点が1か所のため、ブレーキアームの左右の力がフレーム中心部に集中しやすく、剛性面ではやや劣る傾向があります。
一方、ダイレクトマウントは左右2点で固定するため、制動時のたわみが少なく、安定感が高いのが特徴です。
また、空気抵抗を抑えやすく、エアロフレームとの相性も良いです。
ダイレクトマウントのメリット
- 制動力の安定:2点止め構造により、ブレーキ時の力が分散され、リムへの当たりが均一。
- 高い剛性:アダプターを介さないため、部品のたわみが少なく、よりダイレクトな操作感を実現。
- 見た目がスッキリ:ブレーキ周りがコンパクトで、エアロ効果も期待できる。
- 整備時の調整が少ない:取り付け位置が一定で、再現性が高い。
ダイレクトマウントのデメリット
- フレームの互換性が限定される:対応フレームでないと取り付け不可。交換時も互換性の確認が必要。
- パーツの入手性が低い:一般的なキャリパーブレーキより流通量が少なく、選択肢が限られる。
- メンテナンスの手間:構造上、取り外しにやや時間がかかることもある。
- 重量面での差は小さい:ダイレクトマウント化による軽量化はわずかで、目的によっては恩恵が少ない場合も。
今後
ダイレクトマウントは、高い剛性と安定感を求めるライダーにとって非常に魅力的な方式です。
一方で、パーツの互換性やメンテナンス性を重視するなら、従来のキャリパーマウントの方が扱いやすい場合もあります。
かつて、ダイレクトマウントはリムブレーキの進化形として登場し、「より高い制動力と剛性」を求めるサイクリストに支持されていました。
しかし、現在ではその立ち位置が大きく変わりつつあります。
その背景には、ディスクブレーキの急速な普及があります。
ディスクブレーキはリムではなくローターで制動するため、雨天時でも安定したブレーキ性能を発揮でき、リムの摩耗も防げます。
また、ブレーキをリム外に移動できることで、フレーム設計の自由度が大きく向上しました。
結果として、より太いタイヤの装着や、エアロフレームの最適化が容易になったのです。
一方で、ダイレクトマウントはフレーム側に専用の取付形状が必要なうえ、設計上の制約が残ります。
特に、カーボンフレームではリムブレーキの制動熱が構造に負担をかける場合もあり、メーカーとしてもディスク化の方が開発の自由度が高いという事情があります。
さらに、プロロードレースでもディスクブレーキが主流となったことで、主要ブランドの開発リソースがそちらに集中。
結果的に、リムブレーキ用ダイレクトマウントは「軽量志向やクラシックバイクを好む層」に限られる傾向となりました。






























